ハードオフと私の出会い

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おこづかいはもっぱらレコード収集に費やしているdigtiです。週末diggerのため次はどのレコード屋に行こうか考えつつ平日はふわふわしながら仕事をしています。

人生初のレコード屋

「え?レコードショップに行くんじゃないの?」

レコードを探しに行こうと誘われた先は家電などの中古品を扱っているハードオフ。
頭の中でリンクしないまま連れられていきました。
きれいに磨かれたパソコンの陳列棚を通り過ぎ、ガラスのショーケースに入ったカメラに目もくれず向かった先はJUNKコーナー。

丈夫そうな金属棚には、道具箱のような青いプラスチックケースがいくつも並んでおり、ゲームのコントローラやテレビのリモコン、何に使うのか分からないケーブルなどが無造作に入っています。
値札には注意事項の走り書き。

”部品欠けてます”
”パーツ取りに!”

「電源入りました」って当たり前じゃないの?など思っていたら、私の目の前に差し出された一枚のレコード。
JUNK製品に混じってレコードが無造作に眠っていました。

「熱狂の対決!!ドラムと和太鼓」

レコードジャケットを開いて参加ミュージシャンや楽曲について熱く語っていましたが、テンションを受け止めるだけで精一杯。空気を読んで購入してしまいました。

自宅に帰ってすぐに試聴会スタート。
部屋の特等席に座らせたTANNOYはレコードに針が落ちるのを今か今かと待っております。
愛器「TANNOY」は人生2番目の高額買物(1番は車)。
ユニオンで2度に渡る試聴の末、私のお眼鏡にかなった頼れる相棒です。

「熱狂の対決!!ドラムと和太鼓」は激しかった。
(右)TANNOY部屋把瑠都と(左)TANNOY部屋高見盛の張り手の応酬。
両者一歩も引きません。
打って打って打ちまくれ!!!

最近覚えたてのアントニオ・カルロス・ジョビンやホセ・フェリシアーノのようなボサノヴァタッチの甘い誘惑に魅了されていた私ですが、打って打って打ちまくる肉食系の男らしさにノックアウトされてしまいました。

このアルバムについてネットで調べても過去に1万円超で売買されている履歴しか見つからず、2012年9月5日にP-VINEレコードからCD化されるはずも発売延期になりました(現在も発売未定)。
ドラムを叩いていた猪俣猛さんは日本のジャズドラマーの草分け的な存在で、1960年後半から1970年にかけて残した多くの作品は市場に出回ることは滅多になく、そうそう手が出せない値段がついています。

ギターの川崎遼さんは1960年代後半から世界を股にかけて活躍するジャズギタリストの名手。
収録されている”スネイク・ヒップ”は日野皓正クインテットが手がけた映画のサウンドトラックで、日本のジャズファンクでは有名な楽曲のカヴァーだと解りました。

ハードオフで熱く語っていた意味をようやく理解し、珍しいレコードの出土に私も一緒になって興奮しました。

私にとってハードオフのジャンクコーナーこそ真のレコード屋となりました。

 

壊れたポータブルレコードプレイヤー「ONKYO PL-67」を買ってみた その②

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ひとまず音は出たものの、真空管の寿命なのか「ブーン」というノイズが目立ちます。音質は所謂オーディオと呼べるような低音も、延びた高音も出ません。古びたラジオに耳を傾ける昭和の時代へタイムスリップしたかのようです。暫く耳を傾けていると「あれ?こんなにフレッシュな声だったかな?」と思うような、瑞々しいボーカルが聴こえてくることに気がつきました。大型のスピーカーで声を再生すると不自然にこもった声質に聴こえることがありますが、小口径のシンプルな作りの方が、案外素直な音質なのかもしれません。

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ノイズ以外にも気になる箇所がいくつかあります。ターンテーブルが底板に摩っていて「シャーン」という音をたてて回っていたり、アームの付け根はプラスティックが破損していてグラグラしている状態です。

気になる箇所はいくつかあるものの、なによりも先に気になるのは汚れ。かなり汚い状態です。こいつをキレイにしてあげることにしました。

キレイに掃除する

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ホームセンターで金属洗浄剤、グリース、キムワイプを購入。パーツをキレイにしてあげます。

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錆びたビスはドライバーが使えません。金属洗浄剤を噴射しながら歯ブラシでサビを除去し、ラジオペンチを使って力ずくで引き回し抜き取ります(翌日はずっと手が痛かったです)。

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電源ケーブル(グレーの線)の止め結びからも分かるように、団子にしてストッパー代わりにするシンプルな工夫です。スピーカーのサランネットは張り替えることにしました。サランネットはホッチキスのようなピンで止めてあるだけなのでマイナスドライバーで引っかけて外します。サランネットを調達しに近所のホームセンターを回ったのですが代用できそうなものが見つからず….。

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最終的に辿り着いたのがこちらのアイテム。婦人服を代表するしまむらのオリジナルブランド「セオリア」のレッグウォーマーです。オシャレにも余念のないスピーカーに仕立てます。

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スピーカーにレッグウォーマーを履かせてみたところ。

カッティングシートを張り替える

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カッティングシートはホームセンターや画材店などに売っていますが、足を運べど気にいった物がなかなか見つかりません。やむなくインターネットを徘徊しているとサンゲツの壁紙用の粘着シートが代用出来そうなので取り寄せることにしました。実際の質感までは手に取るまで分かりませんでしたが、想定内のシートが到着して一安心です。

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古いカッティングシートを剥がして

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新調したカッティングシートを貼付けます。

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カッティングシートを貼るのは想像以上に難かしく1度失敗しました。最初は剥がしたカッティングシートをトレースして型紙を作り貼ってみましたが、木箱は角丸になっていて劣化も進行しるため、どちらにせよ勘を頼りに進めるしかないことが分かりました。あらためて職人さんの技は凄いと思います。角はドライヤーを当てながらなめしました。

クリーンアップ作戦完了!

試行錯誤の末、ようやくクリーニングが完了したのがこちらの写真です。

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金属ステッカーは天板に移動しました。黄色がかったクリーム色のシートにレトロな書体が、何処度なくモッズ風?になった気がします。

今後も盆栽を愛でるように少しづつ修理していきますので、ブログでも随時ご報告いたします。

壊れたポータブルレコードプレイヤー「ONKYO PL-67」を買ってみた その①

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今年に入ってリサイクルショップばかり足を運んでいるnaianです。
9割はレコードが目的ですが、リサイクルショップで好奇心をそそられるアイテムに出会うこともしばしばです。

先日訪れた千葉県のコレクターズ俱楽部「マニアック」では壊れたポータブルレコードプレイヤー(500円!?)をレコード一緒に購入。もちろん動作しないだろうと思いましたが上手くいけば自分で直して使えるかもしれません。機械は全くの素人ですがdenkiDrさんのブログ「日立レトロステレオ電蓄シンフォニカ修復ダイジェスト」を拝見して、機械へのただならぬ愛情と職人魂が頭をよぎり自分でも挑戦してみることにしました。

案の定、電源を入れてもターンテーブルは回りませんでしたが、レコードに針を落とし手動で回転させるとスピーカーから音が出てきます。ターンテーブルの機構させ修理出来ればひとまずプレイヤーとして機能するはずです。

時代を感じさせるデザイン

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随分古いモノのようで、年数経過によるダメージを含め趣を感じます。ONKYO PL-67という型番はグーグルで検索しても詳しい情報が上がってきませんでした。

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LP用の33回転、EP用の45回転、SP用の78回転の3つのフォーマットに対応しています。

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スピーカーを保護するサランネット。いくつかのビニール線を糸のように編み込む技法は今じゃあまりお目にかかれないデザインです。

分解してターンテーブルが回らない原因を探る

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内部の構造。ターンテーブルが乗った板の背面です。電気的な機構は真空管1つとコンデンサ1つだけかと思うほどシンブルな作り。

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ターンテーブルが回らない理由を一つ一つチェックしていくとシンプルながら工夫の上に工夫が重なった構造になっていることが分かりました。思わず「凄い!凄い!」と独り言が出てしまいます。シンプルで直感的な構造。まるでiPhoneの素晴らしいインターフェイスに触れた瞬間のようです。現代の製品とは異なり、細工のように組み合わせられたパーツは細かな部分まで交換が出来る作りになっています。

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ここでターンテーブルが回る仕組みを上記の断面図で簡単に説明します。
モーターが回転すると、となりに接触したローターを経由してターンテーブルが回る仕組みです。モーターの回転速度は一定で軸の太さを変化させることでスピードを変えています。今でこそテクニクスのダイレクトドライブ方式などが存在していますが、当時はそのような技術はなかったか、または製品コストとしても高額だったのではないでしょうか。単一の回転数であってもこの機構によりLP、EP、SPに対応していたのです。

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ターンテーブルが回らない理由はモーターとローターを連結するバネが延びてしまったことが原因でした。

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ホームセンターで同じ径のバネを買ってきて取り付けました。モーターの軸に密着させることが出来ました。これでポータブルプレイヤーとしての機能をひとまず確保することが出来ました。

つづく….