レコードから出てきた忘れ物

全体図和モノのレコードを買い集めていたらジャケットの中から誰かの忘れ物が出てきました。


メンバーズカード
「NIght Disco 愛」の会員証です。このカードがあれば私もお友達もウイスキーとジュースが飲み放題になってしまうとってもお得なカード。入会金がどのくらいなのかちょっと恐ろしいところです。電話番号から調べましたが現在は営業していませんでした。

領収書2
和モノを掘っていたらご存知の方も多いと思いますこちらのレコード。先日のGood GrooveでもDJ ssmさんがかけていましたね。なんとリアルタイムで購入した領収証が中から出て来ました。
領収書
民謡を買ったつもりがジャケットの写真とは裏腹のドラムブレイクを聴いてびっくりしたと思います。

違反切符
こちらは道路交通違反の通知書です。たった1年間に3回も違反をしてしまったおっちょこちょいなドライバーさんです。なぜレコードの中にそっと隠していたんでしょうか。

手紙
達筆すぎて私には読めませんでした(汗)右側は病気のお見舞いのお手紙のようです。こちらは先週ハードオフでdigしている時に見つけました。無事退院出来て自宅でレコードを聴きながらのんびりしていたのかな、なんて想像しています。

野口五郎への愛
こちらも同じくハードオフで見つけたもの。

 昭和46年11.3 
   野口五郎さんと初めての出会い 
 レコードを聞きながら待っていた

 ニチイの屋上で
 にっこりともしなかった
野口さんが
 熊谷の駅のホームで
 私たちと別れをつげる時握手してくれて
「これからもよろしく」といった 
 そしてわらい顔を見せてくれた。 
 私の一番すきな歌 
 
 この青いリンゴです。



偶然か意図的か、ひっそりとレコードの中に隠れて数十年。時を経て誰かの手元に渡るなんて当人は想像していなかったことでしょう。レコードの音と共に当時の空気と誰かの記録が今に蘇りました。

デンターシステマを使ったレコードクリーニング方法

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時の経過を感じつつプチプチ音の入ったレコードを楽しむのもよいですが、徹底してノイズを排除しクリアな音溝を針でトレースさせたい欲望は捨てきれません。
今回は水洗いでも落としきれなかったチリノイズを極限まで除去する方法を検証します。

前回までのおさらい
・激落ちくんの検証 水の「激落ちくん」でレコードを洗うと確実に汚れは落ちる
・水洗い方法 レコードの洗浄・メンテナンス方法

始めに、水洗いでは除去出来なかったノイズの原因を考えてみます。

・水道水の成分がレコード盤に固着しているのではいか。
・拭き取り用ガーゼに付着したチリ、または繊維が盤面に移ってしまったのではいか。
・溝の中にあるチリはスポンジでは落としきれないのではないか。
・洗浄後の水切りの際、レーベルステッカーの紙の繊維が溶け出して溝に入ってしまったのではないか。

以上の原因を考えました。
また、激落ちくんの拭き取りの際、茶色に変色した汚れはタバコのヤニではないかと考えています。タバコのヤニが付着しているレコードと非喫煙環境でのレコードではクリーニングの結果が変ってしまうかもしれません。今回も激落ちくんを使ってこれらの疑念をできるだけ排除することにします。

準備その1 歯ブラシを使ってマイブラシを作る。

まずは溝内部の汚れにメスを入れるため、マイブラシを制作するすることから始めました。
ネット上でデンターシステマが使えるという記事をいくつか見かけたので歯ブラシのヘッド部分を連結してブラシを作ります。

参考にさせていただいたサイト
バーボンのおつまみ:レコード・クリーナー “microgroove cleaner”

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準備したもの
・はんこ用のアクリル板 425円
・デンターシステマ 5本 890円
・3M 超強力両面テープ 680円
*切断用カッター(ニッパーでも切れるようです)
デンターシステマはレコードの音溝より細い0.02mm。これで溝の中の汚れをかき出せるはずです。

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ノコギリカッターでヘッドを切断しているところ。何故か残酷なことをしているような気分になります。

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両面テープを使って1個ずつ接着します。

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完成!手前にスペースを設けて持ち易くしました。これで溝の内部のチリをかき出します。

準備その2 精製水を用意する。

水道水の不純物がノイズの原因となっている可能性も捨てきれません。不純物を極力排除するため精製水を用意しました。

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ドラッグストアなどで売られている精製水。盤面に噴射しやすいようスプレーボトルも購入しました。

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念入りに共洗いまでしてしまうのは職業柄でしょうか。本職の手さばきです。

準備その3 洗浄用ターンテーブルを用意する。

マイブラシでしっかり溝をトレースさせるため、専用のターンテーブルを調達しました。またターンテーブルを使った洗浄の場合、レーベル面を濡らさないためチリや繊維が流れ出している可能性も排除することができます。

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リサイクルショップで500円で購入。一部破損などがありますが通常のプレイヤーとして再生できたのにはビックリです。

いよいよ洗浄します!

洗浄開始です。
1.レコードに激落ちくんを噴射して、マイブラシで10〜20回程度回します。
2.ガーゼで拭き取ります(激落ちくん拭き取り専用ガーゼ)。
3.マイブラシを精製水で洗います(激落ちくんの残留成分、チリを洗い出す)。
4.レコードに精製水を噴射して、マイブラシで10〜20回程度回します。
5.精製水専用ガーゼで拭き取ります。
6.4〜5の作業を2〜3回繰り返します。
7.完了!

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果たして効果のほどは?

ガーゼを使用しての作業となったため不安材料は残りましたが、水洗いでは取り除けなかったノイズを除去することが出来ました。数枚のレコードで試しましたが一度のノイズもなく再生できたものもあります。多少手間がかかるのが難点ですが、低コストで極限までノイズを除去したい場合は有効な手段になると思います。また市販のバキュームクリーナーを使えばガーゼを使う事無く残留成分を除去できますが高価なのがネックです。個人的には水洗いでノイズの取れなかったレコードや少しでもノイズを除去したいレコードは上記の方法で洗浄しようと思います。
以上レコード研究室からの報告でした。

*実際に試される場合は自己責任でおねがいしますm(_ _)m

水の「激落ちくん」でレコードを洗うと確実に汚れは落ちる

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誰しもが予測できるであろう当たり前のタイトルを付けてしまいました。結論から言えば水の「激落ちくん」でレコードを洗うと確実に汚れは落ちますが、はたして音質面での効果があるのかどうか気になるところです。

今回は同じLPを2枚使って比較検証します。
(基本的な洗浄手順は過去記事レコードの洗浄・メンテナンス方法を参照ください)
音源はリサイクルショップで長らく眠っていたであろうユーミンのミスリム。ブレイク物として海外でも人気のあるレコードです。

【テストその①】 1枚目 洗浄前の音源
【テストその②】 1枚目 水洗い(中性洗剤)後の音源
【テストその③】 2枚目 洗浄前の音源
【テストその④】 2枚目 水洗い(中性洗剤)+激激落ちくんで洗浄した音源

以上、4つを録音し比較試聴します。
*ヘッドフォン推奨です

【テストその①】 1枚目 洗浄前の音源
冒頭のドラムブレイクがカッコイイですがノイズに埋もれ気味です。溝に溜まったゴミを拾って再生しているのが確認できます。


【テストその②】 1枚目 水洗い(中性洗剤)後の音源
「テストその①」のレコードを中性洗剤で洗い、乾燥させてから再生したものがこちらです。S/N比が良くなって先ほどの状態が随分汚れていたことが分かります。リバーブなどの処理、音全体の見通しも良く見えるようになりました。チリノイズも幾分軽減された気がしますが、完全には除去されませんでした。


【テストその③】 2枚目 洗浄前の音源
続いて2枚目のLP。いわゆる中古盤なので多少のチリノイズはありますが、1枚目のものより汚れは少ないようでクリアな音質です。もしかすると先日まとめて洗浄したレコードかもしれません。


【テストその④】 2枚目 水洗い(中性洗剤)+激落ちくんで洗浄した音源
いよいよ検証音源です。うーん。静寂が増してしっとり粒立ちがよくなった気がしないでもないですがプラシーボ効果のような気もします。。。はっきりした違いを期待していただけに腑に落ちない結果となりました。

【結論】
水洗いと比較してはっきりとした違いは確認できませんでした。高品位なオーディオ環境で比較試聴すればまた違った世界が見えてくるのかもしれません。
特に期待していたのがノイズへの効果ですが、今回使用したレコードは状態があまりよくなかったこと(共にVG-〜VG+程度)、洗浄後に使用したガーゼが微細なホコリを付着させてしまった可能性などがあり、激落ちくんそのものの検証を難しくする要因となってしまいました。

一方で直接レコードに噴射してみると目に見える効果がありました。拭きとったガーゼが茶色に変色するほど汚れが落ちます。洗浄済みのレコードであっても同様の効果がありました。激落ちくんは中性洗剤でも落としきれなかった微細な汚れを浮き上がらせることが出来るようです。
ただしそのまま放置してしまうと盤面に水垢のような白い拭き残しが出来てしまいます。

公式ページのQ&Aにアルカリ電解水は空気中の二酸化炭素と反応し炭酸ナトリウムの結晶(粉末)を作ってしまうとあるので、これがレコードの盤面に残ってしまったのだと思います。激落ちくんでレコードをクリーニングする場合は最後に水洗いしたほうが良さそうです。

以上の結果から推測すると、
① レコードを水洗い(中性洗剤)して乾燥させる
② レコードに激落ちくんを噴射しガーゼで拭き取る
③ 再度レコードを水洗いする
という手順がベストアンサーではないかと思われます。
こちらは後日検証してみます。

【あらためて結論】
水の「激落ちくん」でレコードを洗うと確実に汚れは落ちる。