掘り起こし!2013年 円盤レスキュー・アワード

昨年はリサイクルショップで1000枚に迫る勢いでレコードを買ってしまいまいましたが、その中から印象に残ったレコードを報告します。

ワタナベ印刷

ワタナベ印刷株式会社30周年記念 / SONG OF WATANABE PRINTING

ワタナベ印刷株式会社30周年記念として制作されたらしい7inc付きブック。
A面は社歌、B面は音頭と書いてあるので、曲名というかジャンルの説明と言った方がいいのでしょうか。誰にでも分る親切な設定です。歌は山本恵子さん。
ワタナベ印刷音頭は小林亜星の楽曲にも負けない破壊力で、気がつくと「ワタナベ印刷、い〜ぃ仕事ぉ〜♪」と口ずさんでしまう浸食性があります。
なお、ワタナベ印刷さんは千葉県木更津市を拠点に現在も広告業界を支える会社のようです。このレコードも千葉Digの際に救出しました。

ワタナベメディアプロダクツ(旧ワタナベ印刷)
http://www.protos21.com/

果てしない雲海を越えて

果てしない雲海を越えて / EUROPEAN AIRBUS A300

東亜国内航空エアバスA300内のドキュメント録音。最初に針を落とした時、今まで聴いてきたアンビエント〜アシッドフォークとは何だったのか、、、今一度凝り固まった概念を吐き捨てて正面から向き合わなければいけないと感じた衝撃作です。ジェット機のエンジン音、パイロットの生々しい会話の上に突如現れる爽やかなフォークソングとのハーモニー。ジャケット、インナースリーブをくまなく見てもアーティスト名がクレジットされておらず、ネットを徘徊して分ってきた「アップル・ハウス」というアーティスト名。「スプリング・ソング」、「フライトレベル330」の2曲が収録されているようでいずれも素晴らしい作品です。メンバーの百塚さんは現在六本木で「味の店 八ちゃん」という老舗焼き鳥屋をされているそうなので、一度お店に遊びにいきたいと思っています。詳しくは以下のブログをご参照ください。

飛行機ダイスキ! |「高度一万メートルの再会」(武田一男)
http://press.airjapon.com/515.html

 

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祭りの四季 日本の祭囃子 / 見砂直照と東京キューバン・ボーイズ(左)
全国横断 ふるさとの調べ(右)

伝統音楽だろうと侮っているとそのアバンギャルド具合に打ちのめされてしまったレコード。
見砂直照と東京キューバン・ボーイズの祭りの四季(左)は目を閉じて聴いていると奏者達がKODO(参考:You Tubeのリンク)の絵になります。演奏終了の時はスタンディングオベーションで「ブラボー!」といっしょに(!?)叫びたい。

全国横断 ふるさとの調べ(右)はジャズやラテンのエッセンスで奏でられていて、特に沖縄民謡はなんとも不思議で美しい作品に仕上がっています。
ジャケを見て少しでも気になったら迷わず買えるのもリサイクルショップディグの楽しみです。

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DISCO PARTY / ファンタスティック・サウンズ・オーケストラ(LP)
ソウル ハッスル / コロムビア・オーケストラ(EP)

今やどこぞのスーパーでも洒落たブラジルやAORが垂れ流される時代。廉価なサウンドで僕達を楽しませてくれるのはセブンイレブンとハードオフのBGMぐらいになってしまいました。

しかーし、諦めるのはまだ早い!
リサイクルショップなら期待値を大きく外れる、ひっくり返って魅力的なブツへと深化する作品が数多く眠っています。ジャケからにじみ出るハズレ感。それも相当なレヴェルのハズレ感。

この2枚はジャケのみならず、アーティスト名、タイトルまでもがハズレオーラを放っている点で頭一つ抜けています。

DISCO PARTYのインナースリーブには「最新盤 ディスコ・ヒット・ベスト 20」とあり、当時のディスコヒットがセブンイレブン風のテイクで楽しめるストライクな内容。

ソウル ハッスルは(社)日本フォークダンス連盟が監修、フォークダンスから見たソウルなのか、はたまたディスコなのか、はやる気持ちを押さえつつ針を落としたものの、ソウルやディスコの面影すら皆無な作品。説明書きによると「韓国の首都、ソウルーその民族の心の叫びでもある”ジャルイソョ”の曲により、チューンを基調に、ハッスルの踊り方の基本とバリエーションを含めてまとめられたのが本レコードであり、また踊り方である。」とあり、オッサンの駄洒落をモロに喰らったような苦いオチ。嬉しい体験より痛い失敗の方が案外印象深いのかもしれません。

まだまだ、円盤レスキュー・アワードとしたいレコードがありますが、
開いた時間にすこしづつご報告いたします。
naian